今回は画像生成AIの活用法に関する話題で、タイトルの通り
というお話です。
画像生成AIは良くも悪くも画風の真似がうまいのですが、これは上手く活用すると
わけで、元々絵を描ける方であれば役に立つこともあると思います。
ただ私自身は(AIは使いまくってるけど)学習にはそれほど興味がなく「自分の絵をAIに食わせたらどうなるか」という点については今まで真面目に検証してきませんでした。
しかし先日ふと「私が描くような変なイラストを学習させたらどういう絵が生成されるんだろう?」という好奇心が芽生えたことから今回久しぶりに絵を描き、それをAIに学習させてみることにしました。
今回学習させた絵の例
まず、今回私が自分で描いてAIに学習させた絵は下記のような真っ黒な鉛筆画です。
普段生成している美少女イラストとは真逆の画風でちょっと恥ずかしいのですが、自分で描く場合はこういう感じの「黒くて鱗っぽい質感の筋肉ムキムキモンスター」が好きで昔からこんなのばかり描いてきました。背景を鉛筆で真っ黒に塗りつぶしたり鱗の分割を考えたりするのが楽しいんですよ。
ここでは(昔描いたものも含めて)10枚程度の自作の鉛筆画を用意して教師画像としました。
学習結果
では先に結論として学習結果を載せてしまうと、AIに私の絵を学習させた結果下のような絵が生成されるようになりました。
…あれ、なんか自分で描いた絵よりもこっちのほうが鱗が細かくてカッコいいかも?鉛筆の跡とかがばっちり再現されているし、モンスターがちゃんと人型になっているのがすごいです。
こういう変な画風だったら再現率は低いんじゃないか?と正直甘く見ていたので(AIを使いまくっておいて今更だけど)想像以上の出来で驚きました。この結果を考慮するとAIによる学習は本当に悪用厳禁な技術だなぁと思います…。
学習結果をどう活用するか?
それにしても、AIに自分の絵を食わせればボタン一つで同じような画風の絵をガンガン出せるなんて使いようによってはすごく便利です。個人的には自分の絵のアイデア出しに使えるのではないかと思い、具体的にどう使えば便利なのかを少し考えてみました。
- ガチャを引いて新しい絵のヒントにする
- 画風を別のモチーフに適用する
- 画風に変化を加えて新しい画風のヒントにする
ガチャを引いて新しい絵のヒントにする
まずは学習モデルの適用度を1にして完全に自分の絵柄でガチャを引き、新しい絵のヒントにする方法です。生成される絵は先ほどの例と同様に下記のようになります。
この場合は基本的に自分の絵のつぎはぎになりますが、ほぼ完全に自分の画風で出てくるので自分の絵の癖が見えてきて面白いです。これはこれで参考になります。
画風を別のモチーフに適用する
次は学習モデルの適用度を0.6~0.8に少し下げて、元のモデルの影響も受けるようにすることで教師画像にはないモチーフにも自分の画風を適用する方法です。サンプルイラストは次のとおり。
…これは便利!普段描かないモチーフを簡単に試せるのでとても参考になります。なんか自分の絵の可能性が広がった感じがしてワクワクしますね。
それにしてもクマさんがカッコよすぎて泣けてきます。
画風に変化を加えて新しい画風のヒントにする
三つ目は画風に変化を加えて新しい画風のヒントにする方法です。
例えば今回の学習モデルでは「pencil art」(鉛筆画)として学習させたのですが、使うときに別の画風を呪文で指定するとそれっぽい絵になって面白いです。サンプルイラストをご覧ください。
元のイラスト pencil art |
スケッチ風 rough sketch |
漫画風 manga style |
---|---|---|
こちらもちょっと違った画風の絵が出てくるのでワクワクします。ただし表現手法が近い画材でないとせっかくの画風が無視されてしまうことが多かったです(今回の場合油彩風や水彩風などはイマイチでした)。
具体的な学習方法(LoRAを使った学習)
さて最後に、今回どうやって画像生成AIに自分の画風を学習させたのか?という具体的な学習方法について簡単にご紹介しておきます。
今回はLoRAという追加学習の手法を使いました。これは執筆時点では主流のやりかたの一つで比較的簡単に行うことができます。詳しいやり方は下記の記事で丁寧にご説明していますので興味のある方は参考になさってください。
教師画像は品質のよいものが10枚程度あれば一応十分で、そこそこのスペックのPCであれば学習は15分くらいで完了します。普段から絵を描いている方なら自分のお気に入りのイラストを保存してあるでしょうから、それを教師データに使うことですぐに学習させることができます。
おわりに
以上、自分の絵を画像生成AIに学習させてどうなるかを確かめてみたというお話でした。
まとめると自分の絵を学習させるなら何ら問題はなく、アイデアの吟味に使う分にはとてもいいと感じました。絵を描ける方にとって自分の絵の学習モデルを作ることは役に立つし、自分の絵の可能性を広げるきっかけになると思いますのでぜひ皆さんも試してみてください。
この記事が何かしら参考になれば幸いです。