今回はゲーム開発に関する個人的な話題で、タイトルの通り
7年間心血を注いできたゲーム開発を今度こそやめようと思った
という話です。
私は2017年の10月にこのブログを始めると同時にゲーム開発に没頭するようになり、それからつい先日までの7年間、余暇のほぼすべての時間をゲーム開発につぎ込むような生活を送ってきました。ですがとうとう「こんな生活は終わりにした方がいいのかな」と思いゲーム開発をやめようと思った次第です。
…まあやめるなら無言でスッとフェードアウトしたほうがカッコいいのかなとは思います。ですが「なんでゲーム開発をやめようと思ったのか?」という理由は同じゲーム開発者の方であれば興味が湧くだろうと思ったので散り際の最後っ屁としてここに書き残しておこうと思います。
※2024/11/17 追記:
なんとゲーム開発をやめてから2週間で復活することになりました…。やっぱりゲーム開発やめらんねぇぜ!!
前置き:そもそもゲーム開発を始めたきっかけ
まずはじめに、長年のゲーム開発の締めくくりを書く前にそもそも「なぜ数ある創作活動の中でゲーム開発を選んで始めることになったのか?」というスタートの部分を書いておこうと思います。理由は色々あるのですが主なものは次の2つです。
- 子供の頃から「ゲームという表現方法」に強い興味があったから
- 会社を辞めてニートをしており暇だったから
きっかけ1:子供の頃から「ゲームという表現方法」に強い興味があったから
一つ目のきっかけは昔から「ゲームという表現方法」に強い興味があったからです。
私が誰かとお会いしたときに「ゲーム開発をしています」と自己紹介すると、たいてい「ゲームで遊ぶのが好きなんだね」と言われますがそれは違います。もちろんゲームで遊ぶのは嫌いではありませんが、私は不器用でゲームのプレイが特別上手いわけでもないのでゲームで遊ぶこと自体はそんなに好きというわけでもありません。
じゃあ何でわざわざゲームを作るのかといえば「ゲームという表現方法」がとても気に入っているからです。一体どういうことか?端的に言えば
自分で考えたキャラが自分で作った世界の中を実際に動き回って冒険する
→これは創作としては最強の表現方法では??
と思っているということです。
私はゲームを作る前はアナログで鉛筆画を描いていました。しかし当然ながらアナログの一枚絵はどんなに頑張っても動かないので表現方法としてはやや物足りませんでした。もし絵を動かしたいならアニメなど動画形式の表現方法もありますが、それらは動きはあるけど一方通行です。
それを踏まえるとゲームという表現方法はかなり特異だと言えます。ゲームではプレイヤーがゲーム世界にインタラクトすることができる、つまり自分でゲームを作れば自作のキャラクターを好きに動かすことができます。果たして創作者としてこれ以上魅力的な表現方法があるでしょうか?
そんなわけで私がゲーム開発に魅了されたのはある意味当然の流れだったと言えるかもしれません。
きっかけ2:会社を辞めてニートをしており暇だったから
二つ目のきっかけは会社を辞めてニートをしておりとても暇だったからです。
私が新卒で入った会社はたまたまブラック企業で職場ぐるみのイジメは当たり前でした。つまり元から「変な子」だった私がターゲットにされたのは言うまでもありません。私は1年も経たずに見事メンタルを叩き潰され、会社を追い出されてメンヘラニートになってしまいました。
それから数年の間は治療も役に立たないほど精神が荒廃し危うくその手の病棟にぶち込まれそうになったりもしましたが、その後何とか回復し知識ゼロの状態から基本情報技術者の資格を取ったりできるまでになりました。
ですがそこからが問題です。精神を病んでいるうえにろくな職歴もなく、空白期間が何年もあるようなとんでもない傷物を雇ってくれるような企業は(少なくとも私が応募しまくった範囲では)一つもありませんでした。その後手帳を取得し障害者枠での就職も試みましたが、その枠では「誰に支援してもらっているか」という後ろ盾が非常に重要なようで、支援団体にさえ腫れもの扱いされていた私はやはり門前払いでした。私は就職するのを諦めました。つまり、とても暇になってしまいました。
そこで私が目をつけたのがゲーム開発です。先ほどお話したとおりゲームという表現に興味があったことに加えて、ゲーム開発にはとても時間がかかるという話を聞いていたのでニートの私には丁度いい暇つぶしになるんじゃないかと思ったのです。
7年間でリリースしたゲームは35作品以上(※ほとんどクソゲー)
さてこのようなきっかけで気軽に始めたゲーム開発でしたが、個人的には思いのほかフィットした…というかむしろ余暇を全部つぎ込むほど没頭しました。
7年間で無事完成させてリリースしたゲームは少なくとも35作品以上あります。ボツ作品も含めるとあまりにも多くのゲームを作りまくったのでもはや正確な数は覚えていませんが、とりあえず「音ゲー・格ゲー・戦略ゲーム以外」は2D/3D問わずほとんどのジャンルを制覇したと思います。既に公開停止にしたゲームも多く、また時期によってリリース先のサイトも違うので自分でも全部を把握しきれていません。まあ何を作ったかはこの際どうでもいいでしょう。なぜならそのほとんどがクソゲーだからです。
というのも先ほどお話したきっかけの部分をよく読んで頂ければ何となくわかると思うのですが、そもそも私は自分のためにゲームを作っていました。自分で考えたキャラを動かしたいとか、暇つぶしのためとかそんな程度です。つまり他の人にプレイしてもらうことは大して考えていませんでした。もちろん初めのうちはそれでも何も問題はありませんでした。32作品目くらいまではフリーゲームでしたし、いずれも大して話題にならず遊んでくれる方もほとんどいなかったわけですから。
ところがゲーム開発を続けていく中で、「ゲームを作って完成させる技術力」だけは多少なりとも向上し欲が出てきました。有料でゲームを売って儲けたいと思ったのです。今思えばこれがゲーム開発をやめることになる大きなきっかけの一つとなったのかもしれません。
有料ゲームは思ったほど売れませんでしたァ!!
結論から言うと有料ゲームは思っていたほど売れませんでした。
まず有料ゲーム第一弾(クソゲーFPS)はitch.ioという海外の超巨大サイト(※日本での知名度は皆無ですが、膨大な数のゲームが登録されているところです)で配信しました。しかし売上はまさかのゼロでした。
…まあこれは今思えば当然で、流れが非常に速く・かつフリーゲームメインのitchで宣伝もろくにせずに有料ゲームを出したら売れないに決まっています。当時の私はこの結果に愕然としたものの、幸か不幸か私は非常に諦めが悪かったので「まあ次は頑張ればいいや」と思いゲーム開発をやめることはありませんでした。
次に有料ゲーム第二弾(ホラーゲー)もまた懲りずにitch.ioでリリースしたところ今度は奇跡的に1本だけ売れました。売上ゼロよりは一歩前進したので嬉しかったのですが、さすがにitchでゲームを売るのは難しいなと痛感しました。
そこで有料ゲーム第三弾(かわいいFPS)はいよいよSteamでリリースすることにしました。Steamにゲームを登録するのは異様に大変でしたし、登録料も1万円以上取られて損した気分になったものの、それでも憧れのプラットフォームでゲームをリリースできるぞ!ということで大いに興奮したのを覚えています。さらにこのときは運よくゲーム系メディア2社に記事にしてもらえるなどちょっとした追い風もあり、Steamでは初週で50本くらい売れました。また、このときはDLsiteやitchでも同時にリリースしており、そちらのほうでも少ないながらも売上が出ました。
この結果はそれまでと比べたら相当な進歩でしたが、そうは言っても得られた利益はたったの数万円。当時の私はこの結果に全く満足できず「頑張ればもっと売上を伸ばせるはずだ」などと思いました。そこでゲームの基本システムを一から作り直すなど1年以上をかけて新しいゲームを作りました。
さて、この有料ゲーム第四弾(かわいいFPSで前作の続編ではない新作)をSteamでリリースしたら前作よりももっと売上を伸ばせる…と私は思っていました。が、いざリリースしてみると初週の売上は想定の1/3程度でした。私は愕然としました。売れない理由が全く分からなかったのです。
ゲームの手触りは前作よりも大幅によくなっていましたし、ボリュームも倍以上に増え、しかも自分でできる範囲の宣伝はきちんと行っていました(まあ宣伝といってもプレスリリース送付とSteam Nextフェスへの参加くらいしかできませんでしたが)。気がかりな点といえばプレスリリースがガン無視されたことくらいでしたが、Nextフェスではウィッシュリスト登録数が前作の倍近くになったりしていたのでまさかそんなに売れないとは思いもしませんでした。
売れなくてもゲーム開発をやめるまでには至らなかった
ただ、先ほども書いた通り私はとても諦めの悪い人間なのでゲームが売れなかったからといってすぐにゲーム開発をやめようとは思いませんでした。
というか私は自分が好きな分野でそういう困難にぶち当たると逆にやる気が出てくるような変人です。なのでつい先日まで「ゲーム開発をやめる」なんてことは1ミリも頭になかったのです。
ゲーム開発をやめようと思ったきっかけ
ではなぜ今こんな記事を書いているのでしょうか?そのきっかけは大きく分けて3つあります。
- 新しいゲームがまた売れなさそうだから
- 他に熱中できて遥かに儲かる手段が見つかったから
- 健康上の理由があるから
きっかけ1:新しいゲームがまた売れなさそうだから
まず一つ目のきっかけは先日まで開発を続けていた最新作がまた売れなさそうだなと確信したからです。
最新作のSteamストアページを公開したので各メディアにプレスリリースを送付しましたがまたしてもガン無視されました。あと、一日経ってSteamのウィッシュリスト数とゲームのフォロワー数を確認したら売れなかった前作よりも少ないという有様でした。つまり誰もストアページを見ていないし期待もしていないってことです。
これは前作でも早く気づくべきことだったのですが、プレスリリースを無視された時点でそのゲームは話題にならないと判断されたということなので戦う前から既に終わってます。ゲーム=エンタメですから話題にならないゲームは売れません。つまり私の最新作は前作よりもさらに売れない可能性が高いというわけです。
こう考えると、これまで七転び八起きだった私もさすがにやる気を失いました。失敗するのが目に見えているならもういいや…って感じです。
きっかけ2:他に熱中できて遥かに儲かる手段が見つかったから
次に二つ目のきっかけはゲーム開発とは無関係の、熱中できてしかも遥かに儲かる手段が見つかったからです。
ここは儲け話をする場ではないので詳しい話はやめておきますが、この手段を使えば上手くやればPCの前にいるだけでかなり稼ぐことが可能です。というか実際に一日で15万円くらい儲かるときがあったので「儲からないゲーム開発なんてやってられるかよ!バカバカしい」と素直に感じました。売れないゲームを苦労して作る暇があるならより簡単に儲かるほうに力を入れたほうがいいに決まっています。
ちなみに余談として、私はこの手段に出会うまでは「一番力を入れているゲーム開発ですら成果を出せないから自分は無能のゴミクズなんだ」と思っていました。ですが今やある程度稼げるようになったわけですから実際は私は全くの無能というわけではありませんでした。つまりやり方が間違っていたというわけです。「売れるゲームを作る才能がないくせにゲーム開発にのめり込んでいたこと」、これこそが諸悪の根源でした。
このことに気づいてから私のゲーム開発に対する熱量は急に冷めてしまいました。
きっかけ3:健康上の理由があるから
最後に三つ目のきっかけは健康上の理由によるものです。
ゲーム開発を始めてから7年の間に元々あまり良くなかった視力は0.1未満になりましたし、体重も10キロ以上増えました。なんたって一日中PCと睨めっこし・売れない売れないとストレスを溜め・ろくに運動もしなかったわけですから不健康になるのは当然です。また、精神疾患のほうは昔よりもだいぶマシになったとはいえ、それでも未だに物音が異様に気になるなど一定の影響は残っており生活に支障をきたすこともあります。
こんな状態でゲーム開発に没頭する生活が今後も続けば、おそらく悶え苦しみながら生きるか早死にするかどちらかだろうなと思いました。なのでそろそろ今の生活を終わりにしようと思ったのも大きな理由の一つです。
まとめ:ゲームを作ること自体は楽しかったけど、代わりにもっと儲かることをやっときゃよかった
以上をまとめると
- ゲームを作ること自体は楽しくてやりがいがあった
- でも私程度の実力では全く儲からなかったので、(療養中のリハビリとしては良かったが)結局7年も何やってたんだろう・もっと早く儲かることをやっていればよかったという気分になった
というような感じでしょうか。…うん、まあなんていうかゲーム開発そのものはすごく楽しかったんですよ。あとは儲かりさえすれば最高だったんだけどな~ってことです。
ともかく、今度こそゲーム開発をやめようと思ってからは何だか憑き物が取れたようになりました。PCと睨めっこする時間は減り、体を動かす気力も出てきて家族と話す時間も増えました。これはこれでいい…というかむしろこっちのほうが本来あるべき私の姿なんじゃないかと思います。
おわりに
さてこのような次第で、ゲーム開発者としての私「くろくま」の活動はこれで一旦区切りをつけようと思います。まあ先ほど書いた通り私は大変諦めの悪い性格なので、今後ももしかしたらまたゲームを作りたくなるかもしれません。ですが以前のように寝食を忘れて没頭するようなことはたぶん二度とないでしょう。なので少なくともUnity関係の記事はあんまり書かなくなると思います。
あとついでに言うと、ここ1年は検索エンジンの大幅な仕様変更などもあって個人ブログというメディア自体が全然儲からなくなってしまいました。これ以上ブログの更新を続けても報われない気がしてきたので、このくろくまそふとブログはしばらく更新せずそのままにしておくことにします。
もちろん、赤字にならない限り閉鎖はしないのでブログ自体は引き続きご活用いただけます。ですが更新に関してはあまり期待しないでください。いきなりのことで恐縮ですがご理解いただけますと幸いです。
以上、個人的な話になってしまいましたが長年続けてきたゲーム開発をやめようかなというお話でした。ご覧いただきありがとうございました。
ではまた!