今回はゲーム開発の裏話的な話題で
ゲーム開発(特に個人で開発する場合)の大変さ・辛さ・苦労するところ
についていろいろ書いてみようという内容になっております。
ゲーム開発というと、一般の方からすればもしかしたら

ゲームなんて簡単に作れそうだし楽に儲かりそう
といったイメージがあるかもしれません。しかし実際はその真逆であり
- ゲーム開発は決して楽じゃないし、しかも苦労する割に儲かりにくい
- さらに言えば、ゲームはふつう複数人や組織で作るものなので個人開発は苦労がヤバい
という現実は案外知られていないと思います。
そこでここでは「個人ゲーム開発のどういった部分が大変なのか?」という点について、私自身の経験を踏まえつつ具体的に書いていきますね。
個人ゲーム開発は楽しいけど「楽」じゃない
よくある誤解:「ゲームって簡単に作れるんでしょ?」
まずはじめに、ゲームで遊んだことしかない方の誤解としてありがちなのが

ゲームって個人でも簡単に作れるんでしょ?
と思っている点です。…簡単に作れるなんてとんでもない!
詳しい話は後ほどさせていただくとして、個人でゲームを作って完成させるのはとにかく大変でしんどいです。その要因は様々ですが一番の要因としては次のことが挙げられます。
個人ゲーム開発はやることが多すぎる&やることの範囲が多岐にわたる
やることの例:
企画、プログラミング、シナリオ制作、グラフィック制作、サウンド制作、レベルデザイン、データ作成、バランス調整、デバッグ…などなど
個人開発の場合は膨大かつ幅広い作業の大部分をたった一人でこなさなければならないのでとにかく大変なんですよ。
しかも個人ゲーム開発はゲームが完成したら終わりではありません。より多くのプレイヤーさんに手に取ってもらえるように販売の工夫をしたり、バグがあれば修正するなどアフターサポートも行ったりする必要があります。
もちろんプレイヤーさん側からしたらこういう「裏側」の部分は見えないでしょうし、そもそもプレイヤーさんはゲームの作り方なんて知らないでしょうから

- よくわかんねぇけど、まあゲームなんて簡単に作れるんだろうな~
- 楽して儲かりそうでいいなぁ
と思うのも無理はありません。
(余談)ゲーム開発を始めるハードルは年々下がっているけど…
ここで余談として一応言っておくと、最近はゲーム開発のハードルが下がるような環境が着々と整ってきており、誰でも手軽にゲーム開発を始められるいい時代になりました。でもそれはあくまでも入門のハードルが下がっただけで「いいゲーム」を作るのが大変なのは全く変わりません。
そして気をつけないといけないのは「これはいいゲームだな」「お金を払う価値のあるゲームだ」と判断される基準は逆に年々上がっているということです。つまり誰もがゲーム開発を始められるようになった現在では「いいゲーム」の基準はどんどん上がっており、そのようなゲームを作るために必要な労力はちっとも少なくなっていません。
じゃあなんでわざわざ大変なゲーム開発をしているの?
…と、上記の話をご覧いただいて「じゃあなんでわざわざ大変なゲーム開発をやってるんだよ」と思う方が大半かと思います。この疑問にお答えするなら私の場合は
というのが正直な回答です。まあ要するにゲームという表現方法が好きだから苦労しても続けられるっていうだけの話。
ただいくら楽しいといってもゲーム開発で苦労しまくっているのは事実ですから、今回はその苦労部分に焦点を当ててお話ししている次第です。
個人ゲーム開発の具体的な苦労ポイント
さて、前置きがだいぶ長くなってしまいましたがここからが本題です。下記では個人ゲーム開発の具体的な苦労ポイント3つについて詳しく書いてみようと思います。
- やることが多すぎる&やることの範囲も広い
- 苦労して完成させても売れにくい・儲けにくい
- ゲームに難癖をつけられたり文句を言われたりする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
やることが多すぎる&やることの範囲も広い
まず一つ目の苦労ポイントは、個人ゲーム開発ではやることが多すぎる上に色々なことをやらなきゃいけないところです。
「やることが多い」とは具体的には…
では「やることが多い」とか「色々なことをやらなきゃいけない」とさっきから言っていますが、ゲームを完成させて売るためには具体的にはどんなことをやらなきゃいけないのでしょうか?
実はざっと書き出しただけでも下記のような実に様々な作業があります。
- 企画(どんなゲームを作るか考える)
- プログラミング
- シナリオ制作
- グラフィック制作
- サウンド制作
- レベルデザイン(ステージを作る作業)
- データ作成(武器やアイテム・敵キャラのステータスなどのデータを作る作業)
- バランス調整
- デバッグ(バグがないかをチェックする作業)
- 販売の準備(ストアページ作成、宣伝など)
- アフターサポート
こうして一覧化すると我ながら色々やってるなぁと思います…。ゲーム会社だと作業ごとにプロがいると思うのですが、個人だとだいたい一通りは自分でやらないといけないので大変です。
…とはいえ、個人開発だからといって必ずしも全部自分でこなす必要があるわけでもないです。例えばグラフィックやサウンドはゲーム用の素材が数多く流通しているので、オリジナルの素材にこだわらなければ自分で素材を作る手間を省くことができます。
一方でグラフィックやサウンド以外の裏方部分(特にレベルデザイン、デバッグ、販売準備、アフター)は個人開発だとどうしても自分でやらないといけないところも多く、多少素材を使ったからといってゲーム開発が大幅に楽になるようなものでもありません。この点は勘違いしてほしくないところですね。
特に「苦手だが自分でやらなきゃいけない作業」がキツい
ところで個人開発で幅広い作業をやらないといけないとなると、どうしても得意な作業と苦手な作業が出てきます。得意な作業は楽しくてガンガン進められますが苦手な作業は「もう嫌だよ~」とか思いながら作業する羽目になるので開発のモチベーションにかなり響きますね。
ちなみに私の場合はレベルデザインが非常に苦手で、しかも(ステージはゲームの面白さに直結するため)他人に任せるわけにもいかないので毎回かなり苦しみながらステージを作っています…。
苦労して完成させても売れにくい・儲けにくい
さて次に2つ目の苦労ポイントは、やっとの思いでゲームを完成させても売れないのが当たり前なところです。
「自分でゲームを作って売る」←これで儲けられるのは才能がある人だけ
そもそも、ゲーム開発をしたことがない方からすれば「ゲーム開発ってなんか儲かりそうだな」と思うかもしれません。しかしこのイメージは間違いです。
いや間違いというと全否定になってしまうのでもう少し正確に言うと
- おそらく9割のゲーム開発者は個人ゲーム開発で十分に稼ぐことができない
- 個人でゲームを作って儲けられるのは才能がある人だけ
(ここでいう「才能がある」とは、ほかと明確に差別化できるゲームを作れて・そのうえでゲームを大量に売りさばく能力がある超人のこと)
くらいにイメージしていただくといいかなと思います。
つまり才能がある人はガッポリ稼げるけど、そうじゃない並以下の人は全然儲からないのが個人ゲーム開発なのです。
個人ゲーム開発が儲からない理由はいろいろある
ではなぜ個人ゲーム開発は苦労する割に儲けにくいのでしょうか?その理由は既に別の記事に書いたとおりなのですが…
上記の記事の内容をまとめると
といった感じです。普通の人が個人で作ったゲームって
- まずお客さんに認知してもらうチャンスが非常に少ない(=ライバル多すぎな上に宣伝も大してできないから)
- 数少ないお客さんにゲームを知ってもらえてもクオリティが低そうに見えるので買ってもらえない
- 結局、ほとんどプレイされず話題にならないのでストアの目立つ欄から押し出されて埋もれるだけ
- 万一買ってもらえるとしてもセール時だけで大したお金にならない
- やっとの思いで稼いだお金も4割くらいは税金&ストアの手数料として徴収される
という具合に儲からないサイクルに陥ってしまうことがほとんどなんですよ。
もちろん、個人開発でも爆売れしているゲームはいくつもありますがそんなのはほんの一握り。そういうゲームばかりが脚光を浴びるから「個人でゲームを作れば儲かる」と勘違いしてしまいがちですが、ほとんどの個人開発ゲームは売れずにただ埋もれていくだけでちっとも儲からないのが現実なのです…。
自作ゲームに難癖をつけられたり文句を言われたりする
最後に3つ目の苦労ポイントは、手塩にかけて作ったゲームに対して難癖をつけられたり文句を言われたりする点です。
例えば私の場合、自作ゲームに対して実際に次のようなことを言われました。

(イライラ系の自作ゲームについて)
こういうゲーム作る奴は死んだほうがいい

雰囲気よさそうだったので体験版だけDLしました!
製品版は買いませんが(笑)

(←パトロンサイトでの支援者)
え?なんか思ってたゲームと違うんだけど?
支援切るわw
…思い出しただけでも腹が立つけどよくあることです。ともかく、ゲームを作ってリリースすると「いいね」って言ってくれる方がいる一方で文句を言ってくる人も一定数います。
自作ゲームに対する文句・難癖のよくあるパターン
一口に文句といっても様々なパターンがあるのですが、ザックリ分けると
- バグなど開発者側に落ち度があった場合の文句
- プレイヤーが勝手に怒り出した場合の文句(自分に合わなくて気に食わない等)
- 大規模開発のゲームと比較して「お前のゲームはショボい」と難癖つける文句
- なんか元々不機嫌だったので開発者を攻撃し憂さ晴らししようとする文句
といった具合に分類できます。
まず1や2に関しては「どういうバグがあったのか」「どこが気に食わないのか」を具体的に教えていただければ改善につながるのですが、単に「バグがあったから直せ!」とか「10分で飽きた」みたいなことだけ言われてもこちらはどうしようもないです。
それから3と4は完全な難癖で改善の役に立たないばかりか不快なだけなので、個人的にその手のことを言ってくる奴はガン無視しています。
そもそもゲームは文句が出やすい創作物である
ここでひとつ言っておくと、ゲームはその性質上文句が出やすい創作物です。なぜなら、ゲームは絵や音楽などほかの創作物とは「楽しみ方」という点で全く違う性質を持っているからです。
ゲームはプレイヤーさんが頑張ってプレイしないと先に進まず楽しめないので、例えば途中でバグがあって進まなくなってしまったらプレイヤーさんはかなり不満に思うでしょう。一方で例えば絵なら自由に眺めて満足できますし、音楽の場合も簡単にスキップして聴きたいところを聴けるという点で不満に思いにくい性質を持っています。
このことを考えるとゲームだけはプレイヤーさん側も楽しむために労力を払う必要があるので、その労力に見合うだけの楽しさがないと不満に感じやすいのです。
開発者は文句を真に受けないようにするのが重要
つまり何が言いたいのかといえば自作ゲームに対して文句が生じるのはよくあることだってことです。したがって開発者としては文句(特に難癖)を真に受けないことが重要でしょう。
ゲーム開発者の方って真面目で繊細な人が多いイメージがあるのですが、たった一人でゲームを作っている中でいちいち文句を真に受けていたら身が持たないと思うのでその辺はスルースキルみたいなものを身に着けておくのがいいと思います。
まとめ:まず完成させるのが難しいし、完成させても儲からないのが個人ゲーム開発
さて個人ゲーム開発の苦労ポイントについて長々と書いてきましたが、まとめると個人ゲーム開発は
- そもそもやることが多いうえに作業内容が多岐にわたるので、ゲームを完成させるだけでも難しい
- しかも無事完成させてもなかなか儲からないし、そのくせ文句はしっかり言われたりする
という感じなんですよね。いや~、割に合わねぇな!
ただそれでも私はゲームという表現方法が好きなのでゲーム開発を辞めるつもりはありません。まあこれで儲かりさえすればホント最高なのですが…。
…え?「じゃあ仲間を集めて複数人で開発すればいいじゃん」ですって?いやいや、それができないコミュ障だから私は個人でやってるんですよ。その点はどうかお察しください…。
おわりに
以上、個人ゲーム開発で大変な部分や苦労する部分について具体的に書いてみました。
普段ゲームをプレイするだけの方には「へ~、個人ゲーム開発にはそんな苦労があるんだな」と思っていただければ嬉しいですし、同じゲーム開発者の方には「あるあるw」と共感していただけば長々と記事を書いた甲斐があったというものです。
いずれにしてもこの記事が何かしら参考になれば幸いです。