今回はゲームにありがちなストレス要因に関する話題で、
をまとめておきゲーム開発の反面教師にしようという内容になっています。
私はゲーム開発者である一方でPCゲームの熱心なプレイヤーでもあるのですが、ゲーム開発をしているだけに他人が作ったゲームをやっていると
- なんでこの部分はこんなに不親切なんだ?イライラするなぁ。私だったこうするのに💢
- このダンジョン複雑すぎて迷うんですけど?誰だこんなレベルデザインした奴は…😡
- また理不尽な死に方をした!なんだこのクソゲーは🤬
などとついついストレスを感じてしまうことが多いです。しかし自分でゲームを作るとなるとそういった「俺ならこうする」という意気込みは忘れてしまいがちで、結局イラッとしたゲームと同じような過ちを犯すことが多いんですよね。まったくもって情けない限りです。
ただまあ、ゲームをやるにしても作るにしても、プレイヤーさんがイライラするようなストレス要因ってだいたいどのゲームでも似たような感じだと思うのでそれらをまとめておくと役に立つかなと思いました。そこでここではゲームでありがちなストレス要因を一通り列挙して「ゲームをこんな風にしないほうがいい」というのを一つずつ確認していきましょう。
プレイヤーをイライラさせるゲームの特徴
では早速ですがプレイヤーをイライラさせてしまうゲームの特徴を思いつく限り挙げていきます。ゲームでイラッとくるようなストレス要因は大きく分けると次の3種類に分類できると思います。
- ゲーム内容によるもの
- ゲームシステムによるもの
- ゲームの品質によるもの
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ゲーム内容によるストレス要因
まずはゲームの内容によって発生するストレス要因です。
- 理不尽な死に方をしやすい
- 何をすればよいのかが分かりづらい
- ストーリーがつまらない
- 前置きが長い
- 単純作業や面倒な作業を何度もやらされる
- ダンジョンが複雑で迷いやすい
- ザコ敵がやたら硬い
- プレイヤーの行動を制限する要素が多い
- 取り返しのつかない要素がある
理不尽な死に方をしやすい
はじめに理不尽な死に方をしやすいゲームはストレスの大きな原因となります。この「理不尽な」というのは、具体的には「なぜ死んでしまったのか?」という理由が分からないままプレイヤーがやられてしまうような状態を指します。いわゆる初見殺しがいい例ですね。
これに関しては。ゲーム開発者の立場からすると
- プレイヤーを驚かしてやろう
- 初見殺しを入れたら実況映えするかな
などと思って面白半分で理不尽な要素を入れてしまいがちなのですが、今どきそういうのは面白くもなんともなくて単にプレイヤーの怒りを買うだけなのでやめた方がいいと思います。
何をすればよいのかが分かりづらい
次に何をすればよいのかがよく分からないゲームもストレスの原因となります。具体的には
- ゲームを始めるとチュートリアルもなくいきなりゲーム世界に放り出される
- ゲームを進めるためのヒントが少なすぎる
- そもそもゲームの目的が分からない
- 自由度が高すぎて、逆に何をすればいいのかが分からなくなる
といった感じですね。やるべきことがハッキリしないとプレイヤーも遊ぶ気が起きにくいと思うので、少なくともゲームの最初のほうは何かしらのガイドを入れたほうが親切でしょう。
ストーリーがつまらない
ストーリーがつまらないゲームもプレイヤーをイライラさせ、ゲームをプレイする意欲を削ぐ原因となります。ゲームをプレイする際に物語性を重視するプレイヤーさんはかなり多いので、ストーリーがつまらなかったり、分かりづらかったりするのは致命的になりえます(※他の要素がどんなによくてもそれだけで低評価をつけてくる方も多いです)。
もしゲーム開発者としてストーリーを作るのが苦手な場合は、
- 初めからストーリー重視ではないことを周知しておく
- 明確なストーリーを用意するのではなく、周辺情報からストーリーや世界背景を想像してもらえるように工夫する
といった手もあります。無理矢理ストーリーを入れて不評を買うぐらいだったら初めからストーリーがない方がずっとマシだと思うので、その辺はシナリオ制作スキルと相談しながら決めるとよいでしょう。
前置きが長い
ゲームを始めたときの前置きが長すぎるゲームも遊んでいてイラッとします。最初のムービーが長ったらしいとか、説明のテキストが長すぎると「早く操作させてくれよ!」と思ってしまいますよね。
なのでゲームを作るなら前置きは最小限にとどめておき、必要な情報はプレイしながら学べるようにする等の工夫をした方がいいと思います。
単純作業や面倒な作業を何度もやらされる
単純作業や面倒な作業が多いゲームはかなりのストレス要因となります。具体的には
- 同じモンスターを何度も倒さないといけない
- 遠い場所にいるNPCに何度もアイテムを届ける必要がある
- かなりレベルを上げないと次のエリアに行けない
等が挙げられます。ゲームをやっているはずなのに、つまらない作業を何度も繰り返しやらされるのは嫌ですよね。プレイヤーが求めているのはゲームであって作業ではないので開発者としてはその辺を履き違えないようにする必要があります。
ダンジョンが複雑で迷いやすい
RPG等でダンジョンが複雑で迷いやすいような構造だと、プレイヤーが同じ場所を行ったり来たりしてしまいストレスの原因となります。
ゲーム開発者の立場からすると「複雑なほうが面白いのでは」と思いがちですが、プレイヤーからしたら無駄に複雑なダンジョンは疲れるだけで面白くもなんともないので、そういうダンジョンを作りたくなったら再考するかせめてヒントを多めに入れるほうがいいと思います。
ザコ敵がやたら硬い
道中のザコ敵がやたら硬いゲームもかなりイライラの原因となります。
硬いザコ敵は倒すのに時間がかかってテンポが悪くなりますし、爽快感もないためプレイヤーからしたら邪魔以外の何物でもありません。硬い敵はボスだけで十分です。
プレイヤーの行動を制限する要素が多い
プレイヤーの行動を制限する要素が多いゲームも遊んでいてストレスが溜まります。具体的には
- 見えない壁があって先に進めない
- 麻痺や封印など、行動制限がある状態異常を使う敵が多い
といった要素が挙げられます。
まず「見えない壁」の場合は開発の都合上そのままにしてしまうことが多いと思いますが、これはよくないので行けないところには障害物を見える形で置いておくなどする必要がありますよね。
また行動を制限する状態異常を使う敵が多い場合は、面白くもなんともなくて面倒くさいだけなので見直した方がいいと思います。
取り返しのつかない要素がある
取り返しのつかない要素があるゲームもなんかスッキリしなくてイライラしますよね。例えば
- ストーリーの特定の期間でしか最強装備をゲットできず、それを逃すと絶対に手に入らなくなる
- キャラクターが死ぬと、そのキャラはゲームから消えてしまう
といったことがあるとミスった時にショックを受けてしまいます。ゲーム開発者からしたら取り返しのつかない要素は「面白いのでは?」と思って入れるかもしれませんが、これも面白くも何ともないですしプレイヤーからしたらゲームをロードし直す手間が増えるだけなのでやめたほうがいいでしょう。
ゲームシステムによるストレス要因
お次はゲームシステムによって発生するストレス要因です。
- 操作方法が複雑
- ゲームのルールが分かりづらい
- 長い説明やムービー等をスキップできない
操作方法が複雑
まずは操作方法が複雑なゲームはうまく操作できなくてイライラしてきます。これは具体的には操作に必要なキー・ボタンが単純に多いとか、複雑な入力を要求されるといった感じですね。
ゲーム開発者の立場からすると「ゲームが複雑な場合は仕方ないよね」と思いがちなのですが、もし複雑なゲームにするとしても入力は少なくて済むようにする等の工夫は必要だと思います。プレイヤーが求めているのは「簡単に操作できるゲーム」なので、この点もやはり履き違えないようにする必要があります。
ゲームのルールが分かりづらい
次にルールが複雑で分かりづらいゲームも強いストレスの原因となります。
こちらもゲーム開発者からしたら「複雑なほうが面白いのでは?」と思ってルールをどんどん難しくしてしまいがちなのですが、プレイヤーからしたら必ずしもそうとは言えないですし、むしろ理解する手間が増える分だけイラッとしてしまうでしょう。
大多数のプレイヤーが求めているのは「簡単に理解できて面白いゲーム」なので、ゲームのルールはなるべく簡潔なほうがいいに決まっています。もちろん頭のいいプレイヤーなら複雑なルールのゲームでも楽しめるかもしれませんが、ほとんどのプレイヤーはそうではないことを留意しておくべきでしょう。
長い説明やムービー等をスキップできない
長い説明やムービーなどをスキップできないゲームもイライラの原因となります。
こちらは先ほどの「前置きが長いゲーム」の話と似ているのですが、やはり短気なプレイヤーだと「早くゲームをやらせろよ!」と思ってしまうので長い説明やムービーを強制するべきではありません。そういうゲームを作るならスキップ機能はつけておきましょう。
ゲームの品質によるストレス要因
最後はゲームの品質によるストレス要因です。
- バグが多い
- ロードが長い
- ゲームの動作が重い
- 操作性が悪い
- UIが使いづらい
- 画面が見づらい・視認性が悪い
- 音量がデカすぎる
バグが多い
まずは当たり前ですがバグが多いゲームは最もよくありがちなストレス要因となります。特にゲーム進行に悪影響を及ぼすバグはプレイヤーの怒りを買う原因になるので、ゲーム開発者としてはそういったバグは必ずリリース前に見つけて修正しておくべきでしょう。
ロードが長い
次にロードが長いゲームもプレイヤーをイライラさせてしまいます。ゲーム開発者の立場からするとロード時間の短縮はなかなか難しい場合もありますが、プレイヤーは短気な人が多いのでなるべくロード時間が短くなるように工夫すべきでしょう。
ゲームの動作が重い
ゲームの動作が重いのも大きなストレス要因になります。ゲームの動作がもっさりしていたり、動きがカクカクするようではプレイヤーからしたら「なんだこりゃ」と思いますよね。
まあ一口に重いと言っても原因は様々だと思いますが、主には
- プレイヤーのデバイスのスペックが足りない
- ゲームの最適化が不十分
のどちらかが原因となる場合が多いです。しかしこの場合プレイヤーのせいにするのはゲーム開発者としては不誠実すぎるので、
- 可能な限りゲームを最適化しておく
- 必要なスペックを調べて明記する
くらいはやっておくべきでしょう。
操作性が悪い
操作性が悪いゲームもプレイヤーのストレスを加速させる大きな原因の一つです。
これは先ほどの「操作方法が複雑なゲーム」の場合と似ているのですが、操作方法は簡単でもキャラクターの挙動が悪くて操作性が悪くなってしまう場合もあるのでこちらは品質の問題となります。
ゲーム開発用語でいうとキャラクターを制御する仕組みを「キャラクターコントローラー」と呼ぶのですが、特にプレイヤーキャラのキャラクターコントローラーは重要なのにもかかわらずゲーム開発で軽視されやすく、結果として操作性の悪いゲームが出来上がってしまいます。ゲームを作るならプレイヤーキャラのキャラクターコントローラーはしっかり作り込むべきでしょう。
UIが使いづらい
UIが使いづらいゲームもかなり大きなストレス要因となります。UIが使いづらいとゲームの操作性が悪くなりがちでプレイヤーがイライラしやすくなってしまいます。
ゲーム開発者の立場としては
- UIは設計するのが難しい
- デザイン性も求められるため作るのが大変
- それでいてUIが良くてもあまり褒められることがない
といった事情もあるのですが、やはりUIは縁の下の力持ち的な要素なので手を抜かずに作り込む必要があると思います。
画面が見づらい・視認性が悪い
画面が見づらかったり視認性が悪いゲームは、操作しづらいばかりか目にも悪いので本当にイライラしてきます。具体的には
- 全体的にゲーム画面が暗い
- 画面がやたら揺れる
- 画面が点滅する場面が多い
- 目がチカチカするような配色になっている
- 文字が小さい
- キャラクターが背景に溶け込んで見づらい
といった場合が挙げられます。これらは健康上よくない場合があるのでなるべく排除すべきですし、もし導入するとしてもオプションで調整できるようにした方がいいでしょう。
音量がデカすぎる
最後は音量がデカすぎる場合もストレス要因となります。
まあ音量はプレイヤー側の環境次第で大きく変わるので調整が難しいのですが、例えば
- デフォルトの音量は少し小さめの設定にしておく
- サウンドごとに音量にばらつきが出ないようにしておく
くらいの工夫は必要です。ゲームを始めた瞬間にデカい音が鳴るとプレイヤーもびっくりしてしまうので、そのようなことがないように配慮すべきだと思います。
ゲームのストレス要因を減らすにはどうすればよいか?
さてここまでストレス要因になりがちなゲーム要素について説明してきましたが、それらを踏まえて一体どうすればゲームのストレス要因を減らすことができるのかを考えてみようと思います。
ゲームのストレス要因を減らすための工夫は色々あると思いますが、一番重要なのは
ことだと思います。
やはりゲーム開発をしていると開発当事者だけの視点では開発者本位なゲームになってしまいがちです。なので可能であれば開発とは全然関係ない人に遊んでもらい、率直なフィードバックを得るのが最も効果的でしょう。
おわりに
以上、少し長くなってしまいましたがイライラするゲームの特徴について説明しました。
ゲーム開発をしていると様々な理由でストレス要因となる要素が入ってしまいがちなので、ぜひ上記の内容を参考にしていただきそういった要素を修正して頂ければと思います。ゲームを作るからにはプレイヤーさんへの思いやりを忘れずに作り、なるべくストレスなく遊んでもらえるようなゲームにしたいものですね。
この記事がゲーム開発のお役に立てば幸いです。