今回は個人ゲーム開発に関するきわめて夢のない話題で、タイトルの通り
- 凡人が自作ゲームを売ってお金を稼ぐのはかなり難しい
- どうしてもゲーム絡みで儲けたいならアセットを売れ
というお話です。
実はこのブログでは↓の記事のように「自作ゲームはなかなか売れないよ」という話を以前からたびたび書いているのですが…
最近はゲームを売って儲けることの難しさを以前よりも一層痛感することが多くなったのでそろそろアップデート版を書いておこうと思いました。
そこでここでは凡人が自作ゲームを売って稼ぐことの難しさについて、実体験に基づく理由つきで詳しく書いていきますね。
結論まとめ
まず、この手の話は結論を引っ張るとややこしくなるので私が言いたいことを先にまとめておきます。この記事で言いたいことは次のとおりです。
- ゲーム=娯楽品。娯楽品を売って儲けるためには話題作りや他との差別化が肝心。しかしそういった「目立つゲーム」を作るには才能が必要なので、凡人が自作ゲームで儲けるのはとても難しい。
- もしどうしてもゲーム開発で儲けたいなら、同業のゲーム開発者向けに素材や便利ツールなどのアセットを売るほうが稼ぎやすい。
…ご理解いただけましたか?では下記でその理由を詳しくご説明していきます。
自作ゲームを売って儲けるのが難しい理由
自作ゲームを売って儲けるのが難しい理由をいくつか挙げると次のようなものがあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
理由1:ゲームは娯楽品なので元々売れにくいから
まず一つ目の理由はゲームは娯楽品なので元々売れにくいからです。
ゲームは娯楽品なので別にゲームをしなくても死にはしません。あくまでも余暇に楽しむためのものですから、例えば食べ物などと比較すればそこまで需要があるとは言えないし「このゲームめちゃくちゃ欲しい!」と思ってもらうためのハードルはかなり高いです。
以前、ある有名な個人ゲーム開発者の方が
うちのゲームは弁当よりも安いのに価格に文句を言う人がいて不満だ
というようなニュアンスのことをおっしゃっていましたが、私からしたらこのような比較はまったくもってナンセンスに感じます。なぜならゲームと弁当では需要のレベルが全く違うからです。
もし腹が減っている人に弁当とゲームのどちらが欲しいか?と聞いたらほぼ100%の人が弁当を選ぶでしょう。弁当は三大欲求の一つである「食欲」を満たすことができますがゲームでそれを満たすのは不可能です。
このようにゲームは(食べ物などと比較すると明らかに)需要のレベルが低いです。そしてこのことが「ゲームで儲けるのは難しい」理由の根幹をなしていると思います。後述する理由も根本的にはこの需要のレベルの低さが原因となっているものばかりです。
理由2:話題にならないゲームは全く売れないから
次に二つ目の理由は話題にならないゲームは全く売れないからです。
先ほどお話した通りゲームは娯楽品です。娯楽品を売って稼ぐために重要なことは何か?何よりも重要なのは話題性です。売れるゲームは話題になってみんながやるからますます売れるのです。逆に、話題にならないゲームは誰からも認知されなかったりすぐに忘れ去られたりするので全く売れません。つまりゲーム市場は話題作りに成功した者だけが勝利する世界です。
…こう書くと「いや、ゲームは話題性なんかよりも面白さのほうが大事だろう」と思う方がいるのではないでしょうか。実際、ゲームといえば「面白いゲームだからこそ売れる」と主張する人は多いと思います。もちろんこれは真実なので否定するつもりはありませんが、理屈としては「面白ければ売れる」というよりは「面白いゲームは話題になるから売れる」ということなのです。
つまり面白さも結局は話題作りのためのネタの一つにすぎないと私は思っています。そういうことを考えると、自作ゲームを売りさばくにはゲーム本体の面白さを生み出すスキルだけでなく話題作りのスキルも必要とだと言えます。
しかしゲーム開発者の方のうちどれだけの人が話題作りのスキルまで持ち合わせているでしょうか?ゲームを作って完成させられる人だけでも氷山の一角レベルなのに、それプラス話題作りの才能まで持ち合わせている人なんてさらにほんの一握りでしょう。話題になるような売れるゲームを作れる人はガチで才能のある人だけなのです。
理由3:競合ゲームが山ほどあるから
三つ目の理由は競合ゲームが多すぎるからです。
ゲームはイラストや小説等に比べれば参入障壁はかなり高い分野だと言えますが、それでも昔と比べればゲーム開発のハードルが下がったこともあり、毎日大量の新着ゲームがマーケットに参戦しています。
例えばリリースのハードルがそこそこ高いSteamだけを見ても一日あたり30~50本以上の新着ゲームが続々と登場しています。その一方でお客さんはゲームの増加に合わせて増えるとは限らず、顧客の奪い合いは激しくなるばかりでゲーム市場は完全なレッドオーシャンと化していると言えます。このような市場ではよほど他と差別化できていて話題性があるゲームでもない限り速攻で埋もれるだけです。
そもそも、普段お客さんが目にするのは話題になったほんの一握りのゲームにすぎません。目立つゲームの陰には人目につかずひっそりと埋もれたおびただしい数のゲームがあります。したがってゲームを売るなら「果たして自分のゲームは埋もれずに目立つことができるのか?」という点は自問自答しておくべきでしょう。
理由4:ゲームは定価では売れにくいから
四つ目の理由はゲームは定価では売れにくいからです。
先ほど「競合ゲームが多すぎる」というお話をしましたが、競合ゲームが多すぎるとどうなるかというとゲームの中身で差別化することは難しくなります。じゃあどの点で差別化することを余儀なくされるかといえばそれは価格です。
お客さんからしたら同じようなゲームなら安い方がいいに決まっているので、より価格が安いゲームやセール中のゲームのほうが売れるようになります。そしてこれを知ってか知らずか、中には利益度外視で激安でゲームを売ることを厭わない開発者もいるため自作ゲームを売るならそういう人たちとも戦わないといけなくなります。
このような状況下では他と差別化できていないゲームは定価では売れないし、セールを実施してもなかなか売れないなんてことになりがちです。
理由5:ゲーム開発には手間も時間もかかるから
最後に、忘れてはいけない5つ目の理由はゲーム開発は手間も時間もかかるからです。
上で見てきた理由は「ゲームを売る」という観点から考えたものでしたが、その手前の「ゲームを作る」という観点から考えてもゲーム作りでは儲けにくい理由を知ることができます。なぜかというとゲームを作るのはとても大変で、まともなゲームを作るなら年単位の作り込みが必要だからです。
つまりゲームを作るには手間も時間もお金もかかるのですがその割に売れにくいというわけで、個人でゲームを作って売るのはとてもコスパが悪いしリスクが高くてギャンブルみたいだと言えます。
あの、ここでちょっと考えてみてください。もし自分が年単位で開発したゲームが全然売れなかったらどんな気持ちになると思いますか?
…私の個人的な経験談を書いておくと、実質1年以上かけて開発したゲームが全然売れなかったことがあるのですがあのときは正直絶望しました。まさか自分が丹精込めて作ったゲームが売れないなんて思いもしなかったので、時間と労力をドブに捨てたような最悪な気分になりましたし、他にもっと儲かることをやればよかったよなと私としてはすごく後悔しました(もちろんゲームを作ること自体は好きだったのでやりたいことをやって失敗したんだから仕方ない、とも言えますが…)。
いずれにしても、そういう悲惨な結末が嫌なら自作ゲームで儲けようなんて思わないほうが身のためだと思います。
ゲーム開発で儲けられるのは才能のある人だけ。凡人は趣味と割り切ったほうが幸せかも?
さて上記のような理由を踏まえると自作ゲームを売って儲けることができるのは才能がある一握りの人だけだと言えます。もちろんこれはゲームに限らず娯楽や創作の分野はだいたいどれもそういうものでしょう。
なので私みたいな凡人がゲーム開発をするなら変に夢を見ずに趣味だと割り切って取り組んだ方が幸せになれると思います。
どうしてもゲーム開発で稼ぎたければ同業者向けに「アセット」を売るのが堅実
しかしながら、じゃあ凡人はゲーム開発で全く稼げないのかといえばそうとも言い切れません。凡人が自作ゲームを作って売るのは厳しいですがゲーム開発がらみでもっと稼ぎやすい方法はあります。
その方法とは何か?端的に言えば素材や便利ツールなどの「アセット」を作って同業者に売ればいいのです。ゲームそのものとは違いアセットには一定の需要があるため、ゲームを作って売ることに比べればまだ勝機があります。その辺については下記の記事で詳しく解説しているので興味のある方はそちらも併せてご覧頂ければと思います。
おわりに
以上、凡人が自作ゲームを売って儲けるのは難しいぞという話をしました。もしあなたに「ゲームを作って儲けたい」という熱意があるならそれは素晴らしいことなのですが、自作ゲームで稼ぐのはイバラの道だという点は最低限知っておかないといけないと思います。
そんなわけでもしご自身が「凡人」だという認識があるのなら自作ゲームそのもので儲けようとするのではなく、アセットを売るなど周辺分野で稼ぐ方法もあることは知っておいて損はないでしょう。いずれにしてもゲーム開発とうまく付き合って「ゲームを作っていてよかった」と思えるようになりたいものですね。
この記事が何かしらお役に立てば幸いです。