今回はゲーム開発初心者の方向けの話題で、「ゲーム開発で自信がついてきたら作ったゲームを売ったほうがいい」という話です。
ゲーム開発界隈を見ていると、たまに長年かけて作った力作ゲームをタダで配り始める方がいて「え、なんで売らないの?!」と思わずびっくりしてしまうことがあります。もちろん無料で自作ゲームを配ることが悪いというつもりはないのですが、そうは言ってもせっかくの力作をフリーゲームにしてしまうのはデメリットが多くて非常にもったいないんですよ。…一体どんなデメリットがあるのか気になりませんか?
そこでここでは
- 力作ゲームを無料配布することのデメリット
- 自信作ができたら売ったほうがいい理由
- 実際売るならどこで売ればいいのか?
といったことについて書いていきますね。
力作ゲームを無料配布することのデメリット5つ
でははじめに、せっかくの力作ゲームをタダで配ってしまうことの主なデメリットを挙げてみると次の5つがあります。
- 「作ったゲームがお金になる」という大切な経験を得られない
- 対価を払わないのにケチをつけてくる変な人が湧きやすい
- せっかくのゲームをぞんざいに扱われてしまう
- 「フリーゲームの人」というレッテルを貼られてしまう
- 無料で配るなら適当でいいや、と詰めが甘くなってしまう
それぞれ詳しく見ていきましょう。
「作ったゲームがお金になる」という大切な経験を得られない
まず一つ目は、当たり前ですがゲームを無料配布すると一円もお金が得られないので作ったゲームがお金になる、というゲーム開発者としての大切な経験を得られないことです。
一般的にオリジナルのゲーム作品は(たとえ一円でも)お金を払ってもらうまでのハードルが高いため、無名だとほぼ確実にゲームが売れないという困難に直面します。しかしだからといって「どうせ売れないから…」と思ってゲームを無料で配ってしまうと、いつまで経っても
- 自作ゲームが売れるように努力工夫する経験
- 実際に作ったゲームが売れてお金になるという成功体験
を積むことができずゲーム開発者としてスキルアップしづらくなってしまいます。つまりゲームを売ることで得られる経験値をみすみす逃しているということなので、これはもったいないと言わざるを得ないでしょう。
対価を払わないのにケチをつけてくる変な人が湧きやすい
次に二つ目は、ゲームを無料配布すると「一円も払わないのに上から目線でゲームにケチをつけてくる人」が湧いてきやすいことです。
私は今までに30作品以上のゲームを作って公開してきたので色々なご意見・ご感想を頂いてきたのですが、その中には嬉しいものばかりではなくどう見ても上から目線で難癖をつけてきているだけのものも結構あります。そしてそういう難癖コメントは明らかにフリーゲームとして公開したゲームにたくさんつきやすい傾向にあることが経験上分かっているんですよ(※もちろん有料ゲームにもケチをつけてくる人はいますが割合的にはかなり少ないです)。
…まあこう書くと「そんなコメントは無視すればいいだけでは?」と思うかもしれませんが、
- 頑張って作ったゲームに難癖をつけられるのは精神的なダメージが大きい
- もし有料ゲームなら「お客様の言うことだから多少は…」と思える一方で、フリーゲームだと「こいつ上から目線で偉そうなことを言いやがって…」と余計にカチンとくる
といったこともあり作者の立場になると無視するのはかなり難しいですし、ゲーム開発のモチベーションに悪影響を及ぼしかねません。このようなことを考慮するとやはり変な人が湧きやすいのはデメリットだと言えます。
せっかくのゲームをぞんざいに扱われてしまう
三つ目のデメリットは、無料配布するとせっかくのゲームを適当に扱われてしまうことです。
人間は無料でもらったものはあまり大切にしない傾向があるので、ゲームも無料で手に入れたものは
- もらうだけもらっておいて放置
- 少しでもつまらないと思ったらゴミ箱にポイ
という感じだと思います。
やはりタダで手に入れたゲームって「やらないともったいない」という感覚がほとんどないのでぞんざいに扱われてしまうんですよね。これも無料配布の大きなデメリットの一つだと言えるでしょう。
「フリーゲームの人」というレッテルを貼られてしまう
四つ目のデメリットは、ゲームを無料で配り続けると「フリーゲームの人」というレッテルを貼られてしまうことです。
まあ別にフリーゲームしか作らないならそれでもかまわないのですが、フリーゲーム→有料ゲームという風にステップアップしたい場合はこのレッテルは非常に邪魔になります。なぜならプレイヤーにとって無料配布が当たり前になっていると有料ゲームを出した時に「え、今度はお金とるのかよ?!」と思われてしまうからです。
やはり無料であることが基準になっている場合、たとえ低価格であっても有料ゲームを出すとそれまでファンだった人にも買ってもらいにくいという状況になってしまいやすいと思います。このように購買意欲の低い人ばかりが集まってしまう点も無料配布のデメリットですね。
無料で配るなら適当でいいや、と詰めが甘くなってしまう
最後に五つ目は、開発者自身の問題で「無料で配るなら適当でいいや」と詰めが甘くなることです。
既にゲームを作った経験のある方ならよく分かると思いますが、ゲーム開発はやるべき作業が多くモチベーションを保つのが大変です。そして人間はそのような状態になるときちんとやるべき作業を適当にやりたくなってしまうものです。
このようなとき、(私の実際の経験として)作っているゲームを有料作品として販売するつもりなら「売るんだからしっかり作ろう」と思えるのですが、一方で無料で配布するとなるとついつい「まぁ適当でええやろ!」と思ってしまうことがよくあります。したがって無料配布する場合は詰めが甘くなってしまい、結果として納得いかないゲームになってしまったり、適当に作業したことで本来得られるはずの経験値を逃してしまったりといったことになりがちです。この点も気を付けたいデメリットだと言えます。
自信作ができたら売ったほうがいい理由
さて上記のデメリットを踏まえると、自信作ができたら売ったほうがいい理由が見えてきます。主にはデメリットの裏返しで
- ゲームを売ることで自分の作品に対する責任感が生まれ、より丁寧にゲームを作れるようになるから
- 自分のゲームをより大切に遊んでもらいやすくなるから
といった感じですね。
もちろんゲーム開発に自信がないうちはフリーゲームにしてもいいと思うのですが、ある程度自信がついてきて自分で「いいゲームができた!」と思ったらぜひ一度でもゲームを売ってみることをお勧めします。
なお実際に自作ゲームを売るときは知っておいたほうがいいポイントや注意点が色々とあるので、その辺について新しい記事にまとめておきました。そちらも併せてご覧頂ければと思います。
おわりに
以上、「力作ゲームができたら売ったほうがいい」という話をしました。
自作ゲームを売るとなるとかなりの勇気が必要だと思いますが、ゲームを売ることによって得られる経験値は莫大で必ずゲーム開発の糧となるので、自信作ができたらぜひ販売することを検討してみてください。
この記事がゲーム開発のお役に立てば幸いです。