今回はインディーゲーム開発や個人ゲーム開発に関する一般的な話題で、タイトルの通り
インディーゲーム・個人開発ゲームは個性的なほうがいいのか(=開発者として自作ゲームがユニークになるように作るべきか?)
という問題について考えてみるというニッチな内容になっております。
インディーゲーム界隈ではたまに自作ゲームの個性・独創性が議論の対象になることがあります。例えば
- インディー・個人開発ゲームは大手が作らないようなユニークなゲームにするのがいい
- 個性的で尖ったゲームだからこそ小規模開発のゲームでも注目されて売れる
などインディーゲームは個性が大事と主張する方がいる一方で
- 独創性を重視しすぎると独りよがりなゲームになってしまう
- 人気ゲームを真似したゲームが売れているから必ずしも個性は必要ではない
など個性的ならいいとも限らないと語る方もいます。
私としてはどちらも一理あるなとは思っていますが、たまに勃発するネット上の議論を見ると水掛け論になりがちでなんだかもったいないなと感じます。
そこでここではこの「インディーゲーム・個人開発ゲームは個性なほうがいいのか」問題について私なりの考えを書いてみようと思います。
結論:もちろん個性はあったほうがいいが、まずは基礎が大事
まず最初に結論を書いてしまうと、インディーゲームや個人開発ゲームの場合は
- 個性は間違いなくプラスになる
- しかし基礎が疎かだと個性があっても全く相手にされない
といえると私は思っています。
詳しい話は後述するとして、一般的に宣伝力が弱い小規模チームであれば個性を出すことでゲームの話題性を生み出すことができます。ゲームは話題性がないと売れないので、話題性を生み出す要素の一つである個性はゲームを売るための強力な武器になるのです。
ただしゲームは芸術ではなくあくまでも娯楽ですから、例えば個性的すぎてワケの分からんゲームはまず受け入れてもらえないと思って間違いないでしょう。この点を考えると(当然ですが)ゲーム開発ではしっかり遊べるゲームを提供できることがとても重要で、その基礎が疎かではどんなに個性的でもゲームとして落第となってしまいます。つまりきちんと遊べるゲームを作れるようになってから個性について考えるべきだと私は思います。
自作ゲームが個性的であることのメリット・デメリット
では結論を書いたところで「自作ゲームの個性」についてもう少し掘り下げていきましょう。自作ゲームが個性的だとどんなメリット・デメリットがあるのかをまとめてみます。
個性的なゲームを作るメリット
- 大手メーカーが作るゲームと差別化しやすく話題性を生み出せる
- 他のゲームと違った楽しさ・面白さを提供できる
自作ゲームが個性的であることのメリットは何といっても他のゲーム(特に大手メーカー製のゲーム)との差別化を図りやすい点です。
インディーゲームや個人開発ゲームは宣伝力が弱い傾向にあり埋もれてしまいがちですが、個性的なゲームならプレイヤーさんの印象に残って話題になりやすいというわけです。
個性的なゲームを作るデメリット
- 人を選ぶゲームになりがち
- 開発が難航しやすい
一方で個性的なゲームのデメリットとしては、個性の方向性によっては人を選ぶゲームになりがちな点が挙げられます。また個性的なゲームを作ろうとすると、独自のゲームシステムを構築したり自作の素材を用意したりする必要が出てくる場合が多く開発が大変になってしまうというデメリットもありますね。
個性は「滲み出るもの」であり無理に意識するべきではない
さてゲームが個性的だと上記のようなメリット(とデメリット)があるわけですが、基本的にはメリットのほうが大きいのでできればユニークなゲームを作りたいところです。
しかし開発において注意すべき点は無理に個性を出そうとしてはいけないということです。この点について少し詳しく書いておきましょう。
個性は滲み出るもの
まず前提として個性とは隠そうと思っても無意識的に滲み出てしまうものです。例えば、仮に個性を隠し他人のゲームを真似して全く同じものを作ろうとしても普通は何かしら違うものができてしまうでしょう。
もっと言えば他人のゲームだけでなく過去の自分のゲームをもう一度全く同じように作ろうと思ったって難しいです。つまり他人とあなたは別人で考え方も好みも違うし、過去のあなたと今のあなたも多かれ少なかれ違うので全く同じゲームを真似して作ろうと思ってもなかなか難しいですよね。
この前提に基づいて考えればゲーム開発で「個性的なゲームを作ろう」「他人と違うゲームを作ろう」と変に意識する必要はないことがわかります。なぜなら自分なりにゲームを作れば普通は他人が作るゲームとは違うゲームになるはずだからです。したがってゲーム開発では個性を出そうと意識する必要はあまりないといえます。
基礎が未熟なのに個性を出そうとすると失敗する
…というか個性を出そうと意識する必要はないというよりも、ゲーム開発で無理やり個性を出そうとすると失敗します。具体的には
- 個性を出そうと意識しすぎた結果独りよがりなゲームになり、プレイヤーさんが楽しめなくなってしまう
- 迷走して開発が難航し最終的に頓挫する
といったことが起こりえます。特にゲーム開発に慣れていない初心者の方で、かつ理想が高い人の場合は個性やオリジナリティを意識しすぎて失敗するパターンがよくあるので気をつけてほしいです。
ちなみにもし個性を意識する場面があるとしたら、しっかり遊べるゲームを作れる上級者の方が「もうちょっと自作ゲームに捻りを加えたいな」と思ったときとかそういう場面に限られるでしょう。個性はゲームの基礎(=ゲームとしてきちんと遊べる体裁をとっていること)の上にプラスされる要素なので、基礎が十分に身についていないのに個性がどうの…と考えるのは正直言って妙な感じです。
個性を出そうとする前にまずは人気ゲームをしっかり研究しよう
このような次第で、ゲーム開発で個性が云々という前にまずは基礎を磨くのがいいでしょう。基礎を磨くためには人気があるゲームを参考にして
- そのジャンルの王道的なパターンはどんな部分か?
- どんな要素がプレイヤーさんに受けているのか?
- そのゲームのユニークな部分は何か?何が他のゲームと違うのか?
といった点を研究し自作ゲームに活かすのが手っ取り早いのではないかなと思います。
人気があるゲームの多くはそのジャンルの王道パターンを踏襲しつつ上手く個性を出しているゲームです。つまりお手本になる要素が盛りだくさんなので、開発中のゲームに近いジャンルの人気作品はチェックしておくべきです。もちろん多くの方は自作ゲームの開発だけでも忙しいとは思いますが、たまには他の人が作ったゲームで遊ぶ時間も確保するようにしてください。
おわりに
以上、インディーゲームや個人開発ゲームは個性的であるべきか?という点について私なりの考えを書いてみました。まとめると
ゲームを作っていれば勝手に個性が滲み出てくるから好きに作れ
といったところでしょうか。まあなんていうか、変に個性を意識しないように開発すればOKということで…。
この記事が何かしらゲーム開発の参考になれば幸いです。